餅つき [塗師屋]
「29日餅はつくな」といわれていて、例年30日が餅つきの日と決まっている。
今年はストーブを新調して古い竈は使わずにもち米を蒸かした。
ストーブは数十年前に物置の土間において使っていたものと同じ時計型のものだがステンレス製のものにした。ピカピカのストーブも蒸篭から湯気が上がる頃には焼け色がついてきた。
古い竈を使わなかったことで感傷的な心持になったが、いつもの様にに忙しなく大晦日を迎えた
立春 [塗師屋]
およそ、40余年。父の建てた物を壊して建て替える。
そのために、昨年から忙しなくし続けてきた片付けも、ようやく一区切りが着いてきた。
色々と溜まってしまったものと、それに着いてまわる思い出と、その両方を整理して廃棄するのは身も心もやるせない。
まことに厄介でどうにもならないのは、正に“想い”なのだ。
それらを一つ一つ切り捨てる、次代のために切り捨てる。
ときには、ざわめくこともあろうが、もはや流れに身をゆだねよう。
収穫の時 [塗師屋]
10月11日 稲刈りが済み予定していた籾摺りも終えた。
今年は日照が少ない気がしたがおもいのほか収穫量は多かった。
籾摺りを終えた玄米は精米して炊き上げて神棚に供えた。
香り高い新米を皆で楽しみ、収穫に、収穫できることに感謝した。
いつものように収穫を終えた田圃から集めた落穂は玄関に飾った。
ADR-1302 [塗師屋]
9月28日 使い古したサタケのADR-1302(乾燥機)が調子が悪い。朝一番に動かそうとしたが回らない。このままでは次の稲刈りに間に合わなくなる。仕方なく会社を休んで修理をした。
ガタがでてきたベアリングは10年ほど前に自分で交換した。
その後も摩耗したスロワーのカップを全部取り替えた。
そして度は駆動部のVベルトが痛んできていたのだ。交換しないとどうにもならない。
そういえば、買い置きしたベルトが2本あったことを思い出した。サイズを調べると、何れも補修パーツとして用意しておいたものだった。
埃だらけの機械のカバーを開けて、これらを交換すると見違えるほど調子が良くなった。
一番長い165インチのベルトは手に入りにくいので仕方なくそのままにしたが、乾燥機は本来の機能を回復した。
カスタム マシン [塗師屋]
形式 ササキ式SG型
原動機 富士重工製 空冷 200cc 4.5hp 4000rpm (常用3400rpm)
変速機 前進 3段 後進1段 (サイドクラッチ付き)
働き者のこれは、およそ四十数年前に中古のフレームから組み上げた、言わば“カスタム マシン”。
随所にスペシャルパーツが奢られている。
エンジンはロビンの新品に換装。
先端のウエイトを止めているスプリングの大型リテーナーは、ワンオフのSUS削り出し。
ヘッドライトのステーはSUS板から切り出され、曲げられ、エッジは仕上げが施されている。
エンジンの左側面、ドライブプーリーのリテーナーもSUSのワンオフ。
ドライブベルトのガイドはスチールの削り出し。
シフトレバーに付けてあるグリップは銅のムク材、35mmの球形削り出し。
サイドクラッチのレバーには透明な塩ビチューブ。
ドライブシャフトとホイールも換装してある。
当時、小学生だった自分には手巻のスターターで少し大きめのこのエンジンを始動するのが難しかった。それでもロビン(富士重工)のエンジンはトルクフルで軽快に回った。(粘りの芝浦製、クボタ製、やや力感に欠けるメイキ製に比べて、ロビンは軽快なのだ・・・)
春には田を鋤き、代かきをした。秋にはトレーラーからはみ出すほどの稲束を運んだ。冬には雑木林のクズ掃き(落ち葉)を満載した。
丹念に整備され、力仕事を一手に引き受けたこのマシンは長年に渡る耕運の酷使に耐えたが、時が過ぎて軽トラックやトラクターにその席を譲った後は、ずっと納屋の奥で休んでいた。
シンプルにして明快なフォルム。亡父が、この“カスタム マシン”に込めた想いや願いを胸にしまって、長年働いたプラウ(鋤)やレーキと共に廃棄した。