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万平ホテル [追憶]

11月23日 夕食は彼女と向かい合わせの席でとった。
僕たちが付き合い始めた頃はとても若かったから、こういう席では彼女は少しだけお嬢様然と振舞ったし、僕もそんな彼女をたどたどしくエスコートした。周囲には少し背伸びしている風な二人はどう映ったのだろうか。大人たちは若い二人にもホスピタリティを持って接してくれたから、僕たちは幸せ溢れる特別な存在を意識させられた。

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そんことを思い出しながら僕はといえば少しお酒を飲みながらリラックスしていたが、彼女は少し周りの目を意識しているようでもあり、時折、すました少女のような仕草を見せる。なんだか昔にもどったようで幸せな心持ちになった。
奥の方の席では誰かの誕生日を迎えたお祝いをしているようだ。バースデーソングが流れ周りの席から拍手が起こった。

11月24日 翌朝はテラスの席での朝食をと考えていたが、少し遅くなったせいでテラスの席はとれなかった。僕は中庭が見える席を彼女に勧めて、朝食のメニューにミルクを追加した。
朝食の後は雲場池まで散策するつもりであったがハッピーバレーで思いのほか時間をかけてしまったので犀星記念館の前をぬけてホテルまで戻った。男子たるもの車道側に立ち彼女を守るように散策すべしと気を使いもしたが彼女はそれを意に介す風ではなかった。それでもサカサと落ち葉を踏んで歩くのが心地よかった。

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昔、万平ホテルのロビーには大きな黒いストーブが焚かれていて、テラスは冬場になると透明な塩ビシートで風をよけがされていた。訪れる人もそんなに多くなかったから、二人は冬の日差しの中でのんびりとミルクティーをのみなが過ごしたことがあった。彼女はそれよく覚えていて、遅いチェックアウトの後には快適になったテラスでミルクティー(給仕ははそれをロイヤルミルクティーと言い直した)を楽しんでからホテルを後にした。


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