SSブログ

気だるくなるまで [釣り]

6月16日 藤原ダムの放水が絞られて利根川の水位はいつもより早く下がっている。入梅宣言も何処吹く風で梅雨前線は南下し、日本海の高気圧が張り出して北よりの風が吹いている。少し風が強くなりそうだが良い一日が過ごせそうな気がして、日の出を関越高速の花園で迎える頃には、湯檜曽川をしっかり遡行しようと決めた。気力は充実し、清く澄んだ流れで良型の溪魚を、ゆったりと独り占めをして、しかも緊張を保ってしっかりと、体が気だるくなるまで釣がしたい気分だったのだ。

湯檜曽川の入溪点から覗く渓は深く、未だ谷底までは朝日が差していない。先行者もない。過去の記憶をたどっても定かでない魚影を除けば状況は整った。平瀬と早瀬が交互に現れる流れに魚影を探し、流れに期待を込めて丁寧にフライを流した。強い向かい風の中でキャストもままならないが、入溪場所から少し遡ったところで、最初のイワナが出た。

日が高くなると抜けるような空に雲が低い。そうだ、ここはイワナだ。改めて、流れを確かめるようにフライを流し、そうして次はイワナにフライを見せるように流し、くわえ損ねたイワナに、もう一度くわえやすいようにフライを流す。明るい谷に白く反転するイワナが見えるようになった。

幾つかイワナを手にすると、今度は良型を欲しくなる。が、大型が潜む淵があるわけでもない。フライを見に来る小型を避けて平瀬と落ち込みが続く中に良型を求め、約1.5kmの遡行にフライフィッシングとイワナを堪能した。


 

遅めの昼食をとって夕方の一時を利根川で過ごすことにした。イワナを手にしたもののヤマメが釣りたい。そう思った。後閑辺りは急減な減水が見て取れる。川に降りつと雪代で洗われているはずの底石に藻がついている。加えて川色がよくない。一頻り探ってみたが小さな魚信はあるものの、まるで真夏の午後のような気だるさが川に漂っている。もう少し時間がある。陽が傾いだ上牧に急いだ。

川面に日差しが無くなると周囲の照り返しで波紋が読みにくくなる。強い流れを押して立ちこみ流芯の向こうに#16のメイフライを流した。鋭い魚信があって鉤掛りしたヤマメは流芯の厚い流れに潜り込んで下流に走る。ラインをリールに巻き込み速い流れをしのぐとロッドティップから流芯に向かってリーダーが突き刺さる。強い引きが伝わってくる。7Xのティペット。7’3”のややバットが強いロッドで手前の浅瀬に寄せると体高のある本流のヤマメだった。

気をよくして、続けて一つ上の緩流帯を狙った。川上からの強い風ではロッドのバットパワーを生かしても、同じように厚い流れに立ちこまないと流れの向こう側には上手くフライが届かない。気をぬくと足元の砂利が流されて足場が危うくなる。手前、尻、奥、流芯と順にフライを流すと、ビシッと鋭いアタックがあった。小さいヤマメかと訝っていると、それは先ほどと同じように強い流れに下り、大きく波打つ流芯にリーダーが突き刺さった。思いがけない良型の連発だった。

夕まずめの釣りはほとんどやらなくなって久しい。良型が釣れても帰りには少し侘しくなるのだ。でも、こんな事が起きるとたまには悪くない。ロッドを振りつかれ気だるい充実感の中で振り返ると奈女沢はすっかり日影に覆われていた。


nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 3

しげ

こんばんは。
以前、都幾川の話などを書き込みさせていただきました、しげと申します(^^)
今年も大きな山女魚を釣ってらっしゃいますね!

以前、「山女魚と岩魚は釣り方が違う」というコメントを頂き、今年は僕も山女魚が釣れるように練習中です。
山女魚と岩魚の性格の違いが、最近は少しずつわかってきたように感じます。

僕には利根川本流や、湯檜曽川のような大きな流れはまだまだ難しいですが、あの流れの中での良型の引きを体感してみたいですね!^^
by しげ (2007-06-18 23:21) 

Otho

>しげさん
お久しぶりです。
薄根川も楽しめますが、ここ数日で水嵩が落ちて、利根川もこれからが楽しみです。
沢筋に比べると大川の釣りは戦略的です。くわえて大川は疲れを知りません。このため釣果を除けばそれなりの釣が楽しめます。ロングティペットにドライフライで楽しんではいかがでしょう?
私は今年も釣れても釣れなくても哲学の日々を過ごすつもりです。
by Otho (2007-06-19 01:24) 

しげ

半月ほど前に利根川を覗いたときは、雪白で激流でした。
落ち着いてきたとのことですので、これからの季節、チャレンジしてみます!
と言いつつ、明日は休みが取れたので、少し上の方へ岩魚を狙いに行ってきます。

Othoさんの大ヤマメ、これからも楽しみにしています^^
by しげ (2007-06-19 17:43) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0