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名残り [釣り]

9月19日 利根川は今期の最低水位を保っている。「もう少し流れに立っていたい」、そう思って休みをとってここに来ちまった。

大石がごろごろした流れはいかにもヤマメが居そうでうれしく、岩盤の岸際は良型が着いて居そうでワクワクし、葦際はそこが隠れ処のようでキュンとなる。
タルミについた小型は無邪気で、平瀬に着いたヤマメは元気で無垢で、底石に着いた良型は雄々しく、影に着いた大型は思慮深い。
そうして、そのものが棲む流れに立ち込みフライを流した。
私に釣り上げられたヤマメはいつもの営みを断たれて為すすべが無くなったようにみえたが、流れに放したヤマメは、慌てるように、いつもの営みを取り戻すように、棲みかに戻っていった。

つれない釣りの締めくくりに、流れ込みに、ヤマメに押し付けるように、無理やり流したフライに勢い良く出てきたヤマメは、その瞬間に口を使うことを止めて小さな水しぶきをあげた。
温泉街のはずれ、岩盤沿いの朽木の陰から出てきてた尺物はフライを見切った。
何年も使わなかったミッジを結ぶと底石から中型が掛かったがググッとした感触を残して外れてしまった。

名残り惜しい気持ちでいっぱいになった。

 


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